時の流れを愛でる暮らしを~「盆栽は究極のビンテージ」盆栽プロデューサー 小島鉄平さん Profile 小島 鉄平「TRADMAN’S BONSAI」CEO兼プロデューサー、盆栽職人。1981年、千葉県生まれ。 バイヤーとして活躍していたアパレル業界から一転、日本の伝統文化である盆栽を世界に伝えるというミッションのもと、 2015年TRADMAN’S BONSAIを結成(のち2016年に株式会社松葉屋設立) これまで「shu uemura」「NIKE」「Dior」「RIMOWA」などのブランドコラボレーションも行い、伝統を守りつつ既成概念を超えた、 これまでにない盆栽の世界を、若者を含む幅広い世代に日々届けている。https://tradmans.jp/ デザインとアートを暮らしに取り入れた空間を提案する「ART-VILLAGE|アートビレッジ」は、さまざまなアーティストとのコラボレーションを企画しています。その第一弾として、世界的に活躍されている盆栽プロデューサーの小島鉄平さんを現地にお招きし、盆栽に込められた想いと地域貢献、そして住まいとアートとしての盆栽についてお話を伺いました。 盆栽で表す「おもてなし」の心 ――― 今回のコラボレーションは、小島さんの「盆栽は究極のビンテージ」という言葉と、既存の建築構造物を活かしてデザインする「ART VILLAGE」との親和性を感じたのがきっかけですが、さらにお隣の柏市松葉町出身ということもあり、お互いに共鳴し合って実現が叶いました。実際に盆栽が部屋に置かれるとすごくしっくりときて感慨深いです。ありがとうございます!まずは、あまり一般の人が理解していないのではないかと思われる「盆栽」そのものについて教えてください。 小島:まず、なぜ盆栽を飾るのかというところで、盆栽には「おもてなし」の心が込められているということをお伝えしたいです。今回、エントランスに五葉松を置いていますが、この五葉松には「御用(ごよう)を待つ(まつ)」すなわち、「お客様をおもてなしする、たくさんのお客様を待つ」という意味がありまして、盆栽はもともと縁起の良いものとされていますが、中でも五葉松はその意味が強いのです。 例えば、茶室でお客様を迎えるのは最大限のおもてなしですが、そこに五葉松を飾ることで洗練された空間を作り、そこでお茶を飲んでいただきたいという、おもてなしの精神が詰まっています。五葉松以外でも、盆栽によく使われる黒松には「邪気を払う」という意味があります。そういった盆栽のバックボーンにある意味をお客様に説明をすると、腑に落ちて納得していただけますね ――― 盆栽という言葉ができたのはいつごろでしょうか? 小島:盆栽の前身といわれている「盆景」の技法が中国から渡ってくるのですが、日本での始まりは約800年前とか聞いています。江戸時代後期の人気歌舞伎役者が盆栽大好きで、盆栽をいじっている浮世絵版画が今も残っていて、江戸時代には町人の粋な趣味だったことがわかります。でも、だんだんお殿様など偉い人が盆栽を好むようになって庶民の手元から離れてしまうのです。 ――― 昔はお金持ちのステータスだったのが、最近はアートなものとして受け入れられているような感じですが、興味を持つ方が変わってきているという流れについてはどう感じていますか? 小島:僕らが始めたころの盆栽は、国内ではそういったステータス的なイメージが強かったのですが、海外ではむしろ固定概念が無いので、若い人の方が興味を持っているという感じでしたね。SNSで拡がったので若いアートな人たちが盆栽を「COOLだろ?」とアップしていました。たまたま僕が見た海外の盆栽が正直それほど恰好よくなかったので、「本物の盆栽はこうなんだ!」と、日本の盆栽を彼らに見せた時のリアクションが印象的で、それならもっと盆栽を多くの人に知ってもらうべきだ、という想いで会社を作りました。そのころはまだ「なんで盆栽??」っていわれることが多かったのですが、今は少しずつアートとしての盆栽が浸透してきたかなと思います。現代アートとして認知されつつあるとはいえ、数百年前から脈々と技術が受け継がれてきて、これからも僕たちが育てていく盆栽は「究極のビンテージ」だと考えています。 ――― 盆栽アートとしては、白い幹の「真柏(しんぱく)」が印象的ですよね。 小島:「真柏」は生と死がテーマの、一番アートに振った盆栽です。白い幹は枯れて死んでいる部分で、裏側に生きている幹があり、「生と死のコントラスト」を表現していて、幹のうねりなども削ったり針金を巻いたりして作り込まれています。この白い幹は「舎利(しゃり)」、枝が枯れている部分が「神(じん)」という仏教の言葉で白骨化したものを表していて、「水吸い(みずすい)」という生きている部分が緑を形成し、生と死のコントラストを可視化しています。こうしたアートな盆栽の人気が出てきていますね。力強さもあるのでモダンな部屋にもばっちり合うし、和洋中、どんなところでもハマる盆栽です。 屋号「松葉屋」に込められた地元愛 ――― 世界に本物の盆栽を発信することを目指して立ち上げた会社なのですね!その屋号が「松葉屋」なのは地元への想いが強いのかなと思ったのですが。 小島:はい、僕が生まれ育ったのが我孫子の隣の柏市松葉町で、松葉小、松葉中とずっと地元ローカルで生活していたことから、松葉というワードに自分の地元意識は強いです。2015年に「TRADMAN’S BONSAI」を結成してから株式会社を作る時に、地元が「松葉町」しかも盆栽で「松葉」を扱っている。副社長も松葉町育ちなので、せっかくだから屋号を松葉屋にしようってことになりました。 ――― 素敵なストーリーがあるんですね!これから地元でもっと盆栽をフォーカスしていきたいというお気持ちは? 小島:会社名を見て、普通に盆栽だから松葉なのかと思われるのですが、「実は…」ってこの設立の話をすると、皆さんすごく興味を持たれる。その流れの中で、地元の松葉町というところに何か足跡を残したいと思ったんです。自分が生まれ育ってきて当たり前としてきたことの原点が地元にあって、そこに戻って活動できることに意味がある感じですね。いろいろいっても、最終的にここに戻らないとウエイトが軽くなっちゃうので。松葉町で発信して地域の人のために貢献したくいきたくなります。喜ばれることが自分自身や仕事の発展にもつながりますしね。 盆栽と向き合い、成長していける暮らし方 ――― 小島さんの考える、住まいにおける盆栽の見せ方など教えていただけますか? 小島:今までは和室だけに飾るのが主流だったのですが、洋間やミッドセンチュリーなどにも盆栽を取り入れるため、ライティングにこだわりたいという想いから盆栽のギャラリーを作っています。特に僕の中で集中して考えているのが、「夜の盆栽」ですね。ライティングされている盆栽とか、部屋の中で棚を作ってそこで見ていただくとか。盆栽が一つ家にあるだけでも、盆栽と向き合う時間が大事で、お水をあげたり太陽の光にあてるとか、ちょっとしたことですが、それに触れるというのが人間のマインドにとても重要なことだと思えるのです。実際、そういう考え方を取り入れた表現ができる家というのが今まではなかったので、これから一緒に作っていけたらいいなと。家の中ならここに飾りましょう、でも、昼間は太陽がちゃんとあたって水もあげられる場所を作ってみる。そしてどんな光が良くて、それにはどこに置くといいのかということを考えながら一緒に盆栽と成長していくことで心にゆとりができるのではないかと思います。 ――― リモートワークの時間が増えると、住まいをリノベーションしてワークスペースを作る必要が出てきます。必然的に家で過ごす時間が長くなってきて、盆栽と過ごす時間が増えますね。 小島:盆栽はとても繊細ですから、たくさん愛着を持っていただいて盆栽と向き合うというのが、一家庭の中でできるといいですね。もともと日本では年配の方向けの趣味だと思われているのには実は意味があって、年配の方は退職されて時間があるから盆栽とも向き合う時間がある。それって理にかなっているんです。今の世の中、コロナでいろんな業界で大変だといわれていますが、リモートワークが進んでいて家で向き合う時間が増えているから、盆栽業界は売り上げがあがっているのです。 ――― これからは一般の方が盆栽を観葉植物のように日常に取り入れていけるように応援したいですね。今回、「ART-VILLAGE」も照明にはこだわっていて、盆栽が映えるスペースも作ってみました。今後もさまざまなアートが映える空間を作っていきたいです。 小島:盆栽はライティングでかなり映えるので、ぜひ!僕も盆栽が家の中で育つライトを作りたいと考えていて今実験中です。もちろん、ちゃんと育てるには外の空気は必要なのですが、家の中でもある程度元気な状態を保てるように。エアコンの風が当たらない場所に置くとか、外の風を取り入れて巡回させるなど、盆栽には風・日光・水が重要です。でも最新の技術で今まで維持が難しいと思われていたものをもう少し身近なものに感じてもらえればいいなと。 ――― 今日のお話しを聞きながら、また小島さんと一緒に松葉町でも「ART V-LLAGE」と同じ形のプロジェクトを絶対に実現したいと思いました。我孫子も柏もほぼ同じですから、これからも一緒に地域貢献をしながら若い人をフォーカスして応援していきましょう! ありがとうございました。 聞き手:晃南土地株式会社 中澤 洋一文:加藤 良子 ABOUT US 晃南土地株式会社について 晃南土地株式会社は我孫子市の賃貸物件・不動産売買・駐車場などを取り扱う、地域密着型不動産会社です。“私たちにしかできない街創りを” を企業メッセージとし、我孫子に住むひとりひとりが街づくりを『自分ゴト』として楽しむ街へ。そのために私たちは先頭に立ち挑戦しつづけます。 会社概要 | 私たちについて 会社概要 | 私たちについて 晃南土地株式会社の公式サイトへ 晃南土地株式会社の公式サイトへ